体罰と暴行罪

うだうだ書くけど、まあとりあえずは知人の話なんだけど。

その知人はマンションに住んでいて、県内でもそこそこ有名な桜並木の通り沿いに彼の住むマンションは建っている。毎年この季節になると四月のある週末に桜祭りが開催され、期間中は見物客でかなり混むらしい。しかし問題があった。彼の車が止めてある駐車場がよく若い子たちのたまり場になったりゴミが捨てられていたりで、いつもいつも彼は迷惑しているのだそうだ。毎年のように、市の実行委員に苦情を入れていると彼は言っていた。車が傷つけられたりといった被害も過去にはあったらしい。

そして桜祭りの時期が今年もやってきた。その日の日曜日、何度も何度も車のセキュリティアラームがなるので居間から自分の駐車場を見下ろしてみると、二人の男子中学生と思しき少年が車に向かって石を投げているのが目に入った。もう許せん!と彼は階下へ降りていき、逃げようとする少年たちの首根っこをとっ捕まえ叱ったところであまりこたえていない中学生の態度に業を煮やし、ちょうど通りがかった付近をパトロール中の警官を呼んだ。その時、「ふざけんじゃねー」「何しやがんだ」と暴れ出す中学生を黙らすために、「こらおまえら静かにせい」と軽く二人のおでことおでこをぶつけたらしい。

しかしそれを目撃した警官が、「えーとちょっとそのままで帰ってもらうわけにはいかないんです」と。何でも、彼のそのおでことおでこをぶつけた行為が暴行罪に当たるらしく、署の取調室で調書を取らないといけない、と警官は彼に言ったとのこと。彼からしてみれば彼は少年たちの一連の行動の被害者なんだけど、少年たちからすると(もしくは警官たちからすると)彼は逆に加害者(被疑者)になってしまうのだという。ちょっと待てよ、と彼は食い下がったらしいが、「お気持ちわかります…でも仕方ないんですよね、決まりで…未成年に手を出してしまった場合はこういう流れになってますんで」と、抗議もむなしく署に連行されてしまった彼は、そこで長い時間を過ごすことになったと。留置場には入らずに済んだものの、少年たちの親からは「子供に謝ってくれればそれでいい」と言う言葉をもらったと。警官曰く、「お気持ちはわかります…がとりあえずここは一言謝罪だけ、お願いします。あとでこっちでうまく言っておきますんで」と。まあ警官たちにとってもよくあるケースなのかもしれない。彼にとっちゃ何ともやりきれない幕切れとなった形だ。取調室で調書を取られ、写真を撮られ、指紋を記録され、そして何とDNA採取という名目で口腔内の粘膜まで記録されたんだって。うへえ。すごい話。

で、被害者としての権利を主張するには、その少年たちがどの石を投げて、その石が車のどこに当たり、どの傷を形成するに至ったか、そしてそれを目撃している証人、または証拠写真や映像などがないとダメらしい。話を聞いて、うわーと思った。最近話題になっている体罰とかそういう問題によく出てくる「威張り始めた少年たち」みたいなのが頭に浮かんだ。未成年には実質、大人は手を出せない世の中になっている。もちろん手を出すことは良くはないんだけど、でも三十代の自分が子供の時や学生だった時なんて結構ビシバシやられたもんだった。体育教師から逃げ回ってたし、逆にこっちからちょっかい出して逃げおおせるかみたいなゲームもはやってたし、中学の頃は。近所にはけんかっ早いオヤジとかいたしなー。げんこつよく食らってたしなー。でももう最近は何もできないわけですよ、大人の皆さん。未成年相手には気をつけてね。いや未成年相手でなくてもか。

何かやられそうになったら黙って電話を取りだして動画を撮るしかない、っていうこのやるせなさ。何より大変なのは学校の先生たちなんだろうな。「おいコラ糞教師、殴ってみやがれ、ヘケケ」とか中二の青いケツしたバカガキなんかに言われてもぐっとこらえて大人の対応をしないといけないなんて、なんてストレスフルなのだ。まあもちろんそう挑発されて「オラオラ」とか言って殴りたいだけ殴っても問題なんだろうけど、例えば、言っても聞かない、そしてそういう小生意気なことを言ってくる生徒に対して襟つかんで「うるせえ座ってろ糞ガキ」とか言って椅子に座らせても暴行罪になるのだろうか。学校とかの現場の方々は、言っても聞かない生徒に対してどう対処してるんだろう。「君のやっていることはねここにいる全員に対してとても迷惑なことだし迷惑をかけると言うことが社会通念上許されることではないというのを君はわかっているだろうけどウンウンカンヌン」みたいにペラペラ理詰めでマシンガントークで圧倒するんだろうか。いずれにしろまあストレス。俺には無理。

それにしても、体罰を容認するわけじゃないんだけど、この問題に関しては正直、僕もまだよくわかっていない。自分自身の考察が足りないというか。どこからが体罰でどこまでが許される「ムチ」なのか、とか。かといってね、「愛があれば体罰じゃないんですよキリッ」ってのも引っかかるものがあるんですよ。このトピックって考えるたびにぐぬぬ、と頭を抱えてしまうんだよなー。うーむ。

とりあえずいつでも動画撮れるようにしとこうと思いました。被害者になるのは嫌だけど加害者もキツい。

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2 thoughts on “体罰と暴行罪”

    • Tomguitarbikeさん
      なんというか、理不尽というか、かといってうまく正当化もできないというか、もどかしい。

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